用語説明

発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)

発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害)とは、知能が正常であったとしても文字がなかなか習得できない障害で、日本語話者では約8%近くと報告(Uno et al.2009)されています。努力しても習得が困難なのですが周囲には努力していないと思われ、なかなか理解してもらいにくいという特徴があります。例えば、知能が十分に高いにも関わらず、小学6年生になってもひらがなが完璧には習得できていない重度例から、毎週の漢字テストでは、なんとか合格できるのですが、二か月前に合格したはずの漢字をほとんど覚えていない軽度例まで様々です。客観的な検査によってのみ明確な診断評価がされます。英語では、developmental dyslexiaと呼ばれ、直訳すると発達性読み障害となるのですが、「書字」障害がない「読み」だけの障害例はほとんど報告されていないことと、書字障害にも注目してほしいという視点から「発達性読み書き障害」と呼ぶことを提唱しています。医学界の多くの先生方はこの用語を使用してくれています。一方、単に「dyslexia(ディスレクシア)」と呼ぶ場合もあるのですが、後天性の脳損傷によって生じるdyslexiaもあることから、区別するために「発達性」という表記は大事な用語だと思われます。

特異的言語障害(SLI: Specific Language Impairment)

SLIとは、言語の発達のみが障害され、非言語的な能力は十分に高いという発達性の言語障害です。何らかの先天的な要因が背景にあると想定されています。知的障害や脳損傷後の失語症などの言語障害とは異なります。また、聴覚障害、自閉症などに伴う言語障害とも異なります。英語圏では、語彙力、文法力などの発達が十分でない問題により単語の語尾変化(過去形、3人称単数形、be動詞の変化)の習得が特に困難であるという報告があります。日本語話者では、語彙獲得のみの障害と考えられる症例が国際ジャーナルにて報告されています(Uno et al. CORTEX 2009)。

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